にしのかぞく

あきっぽい専業主婦のひとりごと

スペインという国 その1

大嫌いだったスペイン

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スペインに住んでいるくせにスペインが嫌いだった。

私はスペインが好きで住み始めたわけじゃない。偶然、結婚した人がスペイン人で日本に住むかスペインに住むかを考えた時、スペインに住んでいた方がいいとおもったからだった。

 ただそれだけだった。 

 スペインにくる前はこの国のことは何も知らなかった。興味もなかった。学生の頃、ヨーロッパを一人旅していた時、スペインに行ってみたいと思ったのは、鉄道マニアではないが高速鉄道AVEに乗ってみたいと少し考えたことがあるくらいだった。しかし、その一人旅では結局、スペインを訪れなかった。

そして住み始めて、言葉も解らず、スペインがどんどん嫌いになった

 スペイン人、いやアンダルシアの人々はおおらかだというがその頃の私には大げさな、荒っぽい人たちにしか見えなかった。この土地の馬鹿みたいに天気がいいのも嫌だった。夏時間も嫌だった。なんで夜の10時近くまで明るいのも意味不明だった。


こんな風に最初の1.2年は全てが大嫌いだった。パパさんともたくさん喧嘩した。だって、気を許せる人、話せる人はパパさんだけだったから、八つ当たりをしていた。


当時は今のようなネット環境は存在しなかった。 今のように電話代も気にせず日本の家族と電話ができていたらずいぶん違ってたかもしれない。

 

 こんなに嫌いだったのに、なぜか日本に帰ろうとは考えなかった。 スペインに住み始めてから最初に日本へ帰国した時、親に

     「スペインには戻らない方がいい」

と言われた。きっとあちらのご両親も日本人との結婚は難しいと思ってるだろうから、今ならまだ......。 姉にも姪っ子にも帰っちゃったら寂しいよ。と言われた。

私が答えたのは。

   『でも、帰らないといけないから』だった。

これが本当の気持ちだった。よくわからないけど『帰らないといけない』と思っていた。
だって私のことを待っててくれている人がいるから。

 

そして今


あれから23年、あんなに嫌いだったこの緑のない町の風景、馬鹿みたいに青い空が好きになっていた。こんな風に感じるのはまだごく最近だ。

そして毎回、日本へ帰るたびに、もう日本は私の住む場所でないことが明らかになっていった。生活のリズムが早すぎてついていけないのだ。目が回るくらい全てが速くすすんでいるのだ。

 昔は人ごみの中をすり抜けて歩けていたのに、今はぶつかってばっかり。うまく避けることができない。歩くリズムさせ合わせられなくなった。年をとったということか?スペインのど田舎に住んでいるからのんびりさんになってしまったのだろうか?